場の医学と慢性ストレス

  

がん発症のメカニズム

2018年11月24日

はじめに

 前回のがんを防ぐメカニズムで説明しましたように、がんになる原因は、局部的な免疫力低下の長期化であり、局部的な免疫力低下は局部的な血流障害の結果です。
 従いまして、ここでは血流障害を招く原因について説明します。
 一般に、血流障害は、血管自身に問題があって血液が流れにくくなっている状態を意味しますが、血管以外の原因で、血流低下が続くことがあります。そして血流配分の問題での血流障害が問題で、この血流障害が、がんのみならず万病の原因なのです。
 血流障害を招く原因については、既に病気のメカニズムで説明していますが、もう一度簡単にまとめておきます。
 留意して頂きたいことは、がんも他の生活習慣病や内臓の病気も発症原因は同じ(血流障害)です。
 お医者さんは、固形がんを(がんを誘発した)臓器の病気と考えがちですが、がんだけでなく、他の生活習慣病や内臓病なども臓器の病気ではなく、体全体の病気(血液の病気)なのです。

血流障害は交感神経過緊張が招く

 動脈は大動脈があり、そこから中動脈に分枝し、さらに枝分かれします。動脈の末端は毛細血管ですが、その前はメタ細動脈、さらにその前は細動脈から分岐します。
 血流を調整する神経は交感神経であり、細動脈には交感神経がたくさん分布しています(副交感神経が支配する領域も一部ありますが、主要器官の血流はすべて交感神経支配です)。
 「病気のメカニズム」で説明しましたので、詳細は割愛させて頂きますが、血流量の分配は、交感神経による細動脈の収縮と弛緩に大きく依存しています。
 従って、交感神経過緊張の状態が続くと、血流を抑えられた血管領域で血流障害を生じます
 血流障害を生じる理由は、細胞が一生懸命働かなければならないときに、血液不足になるからです。
 例えば、食事をして直ぐに走り出すとお腹が痛くなります。これは、食事をすれば胃などが活発に働くわけですが、その時に激しい運動をすればそちらに血液が優先配分されるので、胃などへの血流が抑制されるからです。

 ついでにもう一つ例を挙げておきます。
 昔の日本では非常に胃がんが多かったのですが、現在ではそれほど多くはありません。その変化を暗示する例があります。
 東北地方の木こりの方達は、胃がんが多いことで有名でした。ところがチェーンソーを導入するようになると、胃がんになる人が極端に減りました。
 これまでの話から容易に想像がつくと思いますが、昼食後、直ぐに木を切るという力仕事をすれば、胃が血流不足になり血流障害になります。従って、胃がんが多かったのではないかと推察されます。
 ところがチェーンソーを使えば、力が殆ど不要なので血流障害を起こさなくなったのだろうと考えられます。

 さて、血管収縮による血流障害が続くと、(その部位で)細胞の壊死(えし)が増え、臓器の正常な働きが損なわれるようになります。また血流障害は、その部位での免疫力低下を招きますから病原体の繁殖を招くこともあります。
 いずれにせよ、血流障害が続くと、(慢性)炎症が生じます

交感神経過緊張は慢性ストレスが招く

レイキとがん

 自律神経と血流障害、自律神経と慢性ストレスの関係は既に病気の原因で説明しました。
 従って、ここでは少し違った形で要点をまとめておきます。
 私達は、温度変化、職場や家庭での人間関係など、常に外的刺激を受けています。また、食べ過ぎや飲み過ぎなどの内的刺激による体内変動があります。
 このように、私達は、体の状態を適切に維持するために、内外の刺激(変化)に適応するように体の機能を調整しています(刺激に対する体の適応・反応をストレスと言います)。
 刺激は、通常、大脳で処理されます。刺激が大脳で処理しきれない場合は、大脳辺縁系、さらには視床下部に伝わります。

 視床下部は、体の機能を調整している司令部です。ここに大脳などから来た刺激(状況変化)情報に基づき、体の働きを調整します。その伝達器官が自律神経です(ホルモンも情報伝達の役割を担っています)。
 刺激に対する反応が視床下部まで行くと、自律神経(交感神経)を通じて体の反応(適応)を引き起こします。
 刺激によっては、大脳を通さず、直接視床下部が反応する場合があります。例えば、刺激が気温・気圧・湿度の変化、病原体の感染などの場合です(右図参照)。
 右図では、免疫系や、ホルモン系、副交感神経などを省略して、簡単化しています。
 刺激に応じてその状況に適応するように、視床下部からの指示で交感神経が各器官への血流配分を決めます。

 従って、非常に強い刺激があると、その刺激に対応する臓器に配分される血流が大幅に増えますが、その分、他の臓器の血流は大幅に減少します。
 血流が抑制されている部位の細胞は、休みがちの仕事をしていれば良いのですが(そのための血流抑制です)、一生懸命働かなければならないときがあります。このときに血流不足を生じます。
 もしこの状態が継続されると(慢性ストレス)、血流が大幅に減少している部位で血流障害が生じます。
 血流障害が長期化すれば、その領域で細胞の壊死や病原体の繁殖などが起こり、炎症が生じます。
 また、その領域では免疫力が低下しているので、がん細胞が発生しても抹殺されないで増殖する危険性が大きくなります。また、この領域の細胞は、酸素などの不足、低温などの環境下にあるので、ミトコンドリア活性が低下している可能性が大きくなり、がん細胞が発生する確率も高くなります。

人によって刺激に対する反応(ストレス)が違う

 刺激に対する体の反応(適応)は副腎の強靱さに依存します。これまで何度も説明してきましたが、副腎が充分発達していない人は、刺激に過剰反応を示し、体の働きを乱しやすい傾向があります。
 しかし、副腎の発達度合い以外の違いがあります。
 刺激に対する反応の仕方は、溜まったエネルギーの流れ方によって大きく異なります。つまり、同じ刺激でも人によって適応の仕方(血流の低下する部位)が異なる(ストレスの種類が異なる)のです。
 ストレスの蓄積をエネルギーの蓄積と考えると、ストレスを解消することは、溜まったエネルギーを解放(放出)することです。
 このエネルギーの放出(流れ)が人により異なり、そのため性格も異なってきます。
 例えば、溜まったエネルギーを外に放出する人(行動型・積極型)、脳あるいは内臓に放出(集める)する人(思索型、感情爆発型、内臓病型など)がいます。
 このようなエネルギー放出の仕方は人によって違いますが、違いは無数にあるのではなく、10(12)種類のタイプにまとめられます。従って、人の性格も10(12)種類にまとめられます。
 残念ながら、西洋医学にはこのような見方・概念がないので、病気を普遍的に捉えることが出来ないのです。
 そのため、病気の原因を、病原体の感染など、様々な外的要因に求めます。そして病名だけが際限なく増えていき、病人も増え続けています。
 ちなみに、私はこのような医療の現状を病気社会と呼んでいます。
 次回は、場の医学の概念であるエネルギーの流れから見た病気について、簡単に説明する予定です。

トルーレイキ療法